9/7 環境大臣会議、どれだけ意義があったの?

 「アジア・太平洋環境大臣会議in北九州」が九月五日、閉幕した。過去最大の約四十カ国が集まり、アジア地域でいままで、そしてこれからも最大の問題となるであろう、環境問題を北九州市で話し合ったということに意義があった、といわれればそうですかというほかないが、環境問題はそんなに悠長な問題でないことは言うまでもない。
 環境問題に関する「北九州イニシアチブ」を採択する、ということが今回の最大の成果であったといわれる。これは簡単に言えば、アジアで目立った環境改善を成功させた北九州市を模範とし、同市が主導してアジアの環境問題を解決していこうといったものである。が、これはどれだけの意義があるものだろうか。
 北九州市の深刻な環境問題は、確かに改善に数百年かかるであろうと言われた深刻なものであった。工場から数キロメートル離れた所にも煤煙が降り注ぎ、洞海湾には船のスクリューも溶けてしまうほどの廃水が満ち満ちていた。これを改善したことはまさに称賛に値する。しかし北九州市の環境改善は、工業生産が停滞した昭和五十年代以降の努力の成果である。アジアの主な工業都市、特に現在伸び盛りの都市群にこの方式は当てはまることができるだろうか。これからの具体的な提案に注目が集まるところである。
 今回の会議には二点だけ、惜しむべき所があった。アメリカの会議不参加と数値目標がなかったことである。これからのアジアの発展には、依然経済が好調であるアメリカの影響が大きいだろう。その不参加は多分に政治的色合いが強く、会議主催者側の非は問いにくいものの、やはり残念であったと言うほかない。そして数値目標の設定は拘束力を持つもので、それがない場合、この会議での成果がその後の政治状況によっては骨抜きにされかねないからだ。
 まあ、とはいえアジアの団結力を深める上でも環境意識を高める上でも、この会議はおおむね成功であったと言えよう。ただ、この会議の参加国が会議中の冷房温度を二十一度まで下げていた、というエピソードはあまり頂けず、アジア各国の環境に対する意識はまだまだ低いものだというイメージは拭えない。


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