8/5 一映画館から都市の活性化を模索する(8/18若干訂正)


 お久しぶりです。いよいよ論攷復活か! と考える方も多いかもしれませんが、
 今回は更新ネタを考えるゆとりがない過去書いた未公開論攷を紹介したいと思い、うっかり載せてみました。
 どこに提供したかは、、、見れば分かりますな。多少は影響したかもしれないし、影響されていないかもしれない論攷です。
 中〜小規模空間にはこういった可能性がある、と言うことを考えていただければ、もうそれでいいかな、と今は思います。

 1.はじめに
かつて黒崎には10を超える映画館がひしめき合っていた。
娯楽がまだまだ少なかった昭和30年代、人々は映画に夢中になった。
スクリーンからは夢があふれ、人は主人公に、またはヒロインに自分の姿を重ね合わせたことだろう。
ここから日本の高度成長は始まった。映画館はまさに人々のやる気のインキュベータ(孵化器)だったのだ。

 2.立地性
私がかねてから提唱する理想都市の姿(歩者分離型都市、商業地のイベント広場)に一番近い“黒崎”が、黒崎中央公園の周辺部にある。
黒崎メイトから見るその姿は、商店街内の都市公園と見ることが出来、商店街に僅かながら存在する若年層をかろうじて引き留めることの出来る空間となっている。
同様の状態を小倉砂津のチャチャタウンに見ることが出来る。ここでは空間を完全にコントロールして、中央広場での盛り上がりをモールに波及する効果をねらっており、これは確実に成功している。
同様の効果を黒崎商店街群でねらうとすれば、それが出来るのはこの黒崎中央公園(三角公園・旧下の田公園)しかないだろう。
ただこれに関してはいくつか課題がある。それはこの黒崎中央公園周辺が完全に商業化されていないこと、そして周辺には空き施設があること。更に核施設がないことである。
現在せっかくとどめている客層をみすみす逃している構図が浮かび上がっている。これはいずれ、公園を訪れる人がいなくなる状態へと変化していき、それは現在確実に進行していっている。
この問題をクリアするための対策のひとつとして、現在閉鎖中の「黒崎中央大劇ビル」(以下、当該ビル)の再活用が挙げられるだろう。

 3.実践面
まず明らかにしておきたいことは、この提言では当該ビルを黒崎における中規模核施設のひとつとして捉えていると言うことである。
もっとも、それはかつて映画館であった時代でも同様のことであるが、今回提唱する「スクリーンを利用した多目的イベント・文教施設」ではその都市機能に占める重みは増すと考えて良い。
筆者は施設の間取り図、及び機能一覧を知らないため、あまり踏み込んだ(実現性の極めて高い)提唱は出来ない。よってここでの話に抽象性が高いことはご了承願いたい。
まず当該施設がかつて映画館として使用されていたことに着目したい。一定レベルの映像施設は備えていることになるため、活用法として考えるべきは、「ある程度の人数」に「訴えかける効果」を求める分野の需要を探すことである。
「黒崎の都市機能に足りないもの」というもうひとつの条件を加えると、カルチャーセンターやイベントホールが一番当てはまりやすいのではないだろうか。
イベントホールという可能性については、九州厚生年金病院跡の活用法によっては重複の危険性がある。が、中小規模のイベントに限定すれば不可能ではないだろう。ただ、これは黒崎マーカスとの分野の兼ね合いを考慮に入れるべきだろう。
カルチャーセンターに関してはかつてコムシティ内に存在していたため、建物の再生進度によれば一時的な利用になると想定できる。その場合は北九州予備校との連携による放送大学のサテライトキャンパス誘致なども視野に入れて良い。
いずれにせよ、ここでの提言は公園の利用者・または周辺回遊の人々をターゲットにいれつつも新たな需要を喚起しようという試みである。イベントホールを持たない黒崎においては一時的ではあるものの、潜在的な需要は高いと見て良い。
どの程度の規模の改修を必要とするかについては、現在の間取りから判断すべき事項であるが、これについて情報がないため私からの言及は避けたい。

 4.広報手段
どのような改修を施すにせよ、改修後の広報手段によって事業の運命は変わる。たとえば、リビング北九州に掲載を依頼するか、おいらの街に依頼するかによって集客層は確実に違う。
カルチャーセンターのように扱うか、イベント広場にするかによって広報の手段は色合いを変えていく。Web活用の有無も年齢ターゲットを絞ることで考えたい条項だ。
私見ではあるが、当該ビルはその前面に広場を持っていることから、若年層の集客がある程度見込めると考える。時間帯によって用途を変えるのも手段として有効だろう。
広場でビラ配りを行う、駅前で行う。それの繰り返しで広まる文化もある。時間のかかる作業であるが、一からスペースを造ることを考えると、比較的費用はかからない。
そういった点で都市の中でまとまったスペースがあることは、力になりうるのである。あらゆる手段の中から効率よくイメージづくりを行う必要があろう。

 5.おわりに
時代は変わり、情報化社会の波の中で繁華街の位置づけは変わっていった。
小さな街はより求心力の強い街に、または土地が安く大規模開発の可能な郊外地へと引き寄せられ、その流れは不景気とともにより強いものとなった。
黒崎も例外ではなかった。ユニード・ダイエー・長崎屋など各施設は撤退していき、いまやかつての栄光はない。
そんな中で、街が再び立ち上がる場所として、かつての人々を奮い立たせた映画館という場所は、実に格好のステージではないだろうか。
スクリーンから黒崎を変えていく。たとえ小さな残り火であろうとも、その記念碑的な施設から黒崎を盛り上がらせることが出来るなら、
それは映画館が魅せる最高のシネマではないだろうか。

 次回更新は、新しい文章が書けるように、、、はい、頑張ります。 


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