1/31 市長選挙から見る北九州のこれから


 今回行われた北九州市長選挙は、「多選批判」と「現状評価」というふたつが争点として争われました。
 、、、という風に一応書いておいたのですが、本当にこれらが争点になり得たかどうかは今なお疑問点として残ります。

 現職の圧勝と40パーセントを割り込む低投票率。これらが示しているものは、今回の選挙における争点の曖昧さだと考えます。ならば、何が本当の争点となり得たのか。今回はこれを考えることで市長選を振り返ってみたいと思います。
 現職はじめ3人の候補者が名乗り出て二週間の選挙戦を戦い抜いた訳ですが、今回の選挙では現職に対する明確なマイナスポイントを追求できたのか、かなり疑問が残ります。
 現職の抱えていた問題、それは「北九州博覧祭」の失敗と「地域の景気低迷」、「公費支出の明確化」などです。しかしこれを積極的に追及する空気は最後まで生まれませんでした。この背景には現職に対する一定の評価があったからだと分析します。
 北九州市民の多くは、確かに新日鐵が力を持っていた時の市の活気を覚えています。また、市の現状を憂いてもいるでしょう。しかし、北九州市と同じように発展を続けてきた重化学工業系企業城下町の没落の様をも同時に見てきたわけです。人口が半減するような工業都市(大牟田、田川、釜石etc)が多くある中で、北九州市は県庁所在地でもなく、県経済の中心でもない工業都市ながら人口はかろうじて100万人にとどまっています。これは市長の努力のたまものであるといえるでしょう。
 しかしながら、地域の景気は未だ冷え込んでいます。市政に対する不満が残っているのは疑いようもない事実です。そこを問題の起点として私たちは未来の指針を考えます。各候補の主張は、はっきりとした未来の指針に溢れたものであってこそ、投票する回があると思います。
 ここで私の結論を申し上げますと、争点になり得たものは今後の北九州に対するビジョンだったのではないかと考えます。
 現市長の示した「国際物流都市」(新空港とハブポート)・「環境未来都市」(エコタウン)・「福祉モデル都市」(福祉『北九州方式』)というビジョンを正当に秤にかけ、それに対する費用対投資が正当なものかどうか考え、さらにこれらを上回る明確な方針を示さない限り、少なくとも私は納得がいきません。
 
 今回の選挙の結果を考えるに、現職の成果とこれからのビジョンが他候補のそれを圧倒していた結果が現れたものだと言えます。(選挙公報から見ても、他候補の主張は曖昧なものが多かったのは残念です)
 次に行われる選挙は福岡県知事選。「新空港の是非」ばかりが目立っていますが、県をどうしていきたいかという各候補のビジョンから、自ずと他の論点も見えてくるものであって欲しいと期待します。



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